創業200年以上の歴史に幕を下ろす高田屋=出雲市大社町杵築東
創業200年以上の歴史に幕を下ろす高田屋=出雲市大社町杵築東

 出雲大社近くにある創業200年以上の老舗和菓子店「高田屋」(出雲市大社町杵築東)が30日閉店する。店を切り盛りする店主夫婦が高齢になり、後継者もいないため。消費者の和菓子離れが進む中、看板商品のようかんが創業以来変わらぬ味で愛され、伝統的な和菓子にこだわり抜いてきた。客に感謝の思いを込め最終日まで無休で自慢の味を提供する。
 高田屋は江戸時代の創業で、少なくとも200年前から営業するという。5代目の前島真三店主(85)は奥出雲町出身。23歳だった60年余り前に養子として店に入った。大阪、京都で4年間修業し戻ってからは元日を除き、ほとんど休む間もなく働き続けた。

 ようかんは備中特産の希少な白小豆を使い、あっさりとした甘さが特徴。地元住民はもちろん、リピーターとなった観光客が定期的に買い求めた。2000年に出雲大社境内から心御柱(しんのみはしら)と宇豆柱(うづばしら)が出土したのを記念して作ったもなか「雲太」やカステラも親しまれた。
 10年前から職人を雇うのを辞め、妻の迪子さん(80)と2人で店を守ってきたが、年を重ねて肩や腰の痛みが出始め、ここ数年は引き際を模索した。
 後継者探しが大きな悩みだったが、家族経営で続けた店を無縁の人に引き継ぐことは考えられなかった。洋菓子の要素を取り入れた和菓子を提供する店が増え「時代に合わせた発想がなかなか湧かなかったのも大きい」と閉店を決心。10月末に原料の仕入れ先や得意の顧客に礼状を出した。
 閉店を知った客から「冷凍して保存する」などと注文が相次ぎ、多忙な毎日を送る。前島さんは「味にこだわり続けた六十数年だった。200年受け継いだ味を守るという思いで働き、毎日が印象深かった」と目を細める。接客や地方発送を担った迪子さんも「お客さんと店先で話すのは楽しかった」と懐かしむ。
 (平井優香)