2011年3月12日午前6時14分、朝日が東京・千代田区の官庁街を照らす中、自衛隊のヘリコプター「スーパーピューマ」が首相官邸屋上から飛び立った。首相の菅直人が原子力安全委員会委員長の班目春樹と隣同士に座ると、寺田はその向かいに座った。要人移動にも使われるヘリだけに白を基調とした内装は気品を感じさせる。

 「自分の原発に関する知識の乏しさから、具体的に何が起きているのか想像もつかなかった。ただ未曽有の出来事が発生しており、その現場に突入することへの非...