岸田文雄首相は13日の衆院予算委員会で、18歳以下の子どもへの計10万円相当給付について、年内の現金一括給付容認へ転換する方針を表明した。自治体や野党から批判が相次いだのを踏まえた発言。自治体が一括給付を選ぶに当たって条件は付けない。一括給付に否定的だった姿勢を変えたことに関し「さまざまな声を受け止め、より良い制度設計を行うことにした結果だ」と強調した。石原伸晃元自民党幹事長の内閣官房参与辞任を巡り、改めて陳謝した。
政府は現金5万円と子育て用品に使えるクーポン5万円分に分けて配る方式を原則としたが、対応が二転三転しているのは否めない。巨費を投じるにもかかわらず、政策目的が曖昧になりつつあるとの指摘も出そうだ。
立憲民主党の小川淳也政調会長や長妻昭氏は、自治体は急な対応が難しいとして「判断が遅い」と非難。首相は「自治体に丁寧に連絡、確認する」と理解を求めた。
山際大志郎経済再生担当相は「自治体に対し、2021年度補正予算の成立後に実施要領を示す」と説明。補正予算成立前や実施要領提示前に自治体が現金給付した場合、事後に補助金を交付し手当てするとした。
首相は新型コロナウイルス対策の助成金受給を巡る石原氏の辞任に関し「申し訳ない」と述べた。石原氏や大岡敏孝環境副大臣が代表を務める自民支部が助成金を受給していたことには「適法ではあるが、国民の理解は得られない」と語った。大岡氏は辞任を否定した。
新型コロナワクチンの3回目接種に関し、首相は「自治体は10万円給付をはじめさまざまな対応が求められる。どこまで前倒しするか丁寧に考えたい」と語った。
米政権が打ち出した北京冬季五輪に政府代表を派遣しない「外交ボイコット」への対応については「適切なタイミングを選んでしっかりと明らかにしたい。各国の動きも勘案する」と述べた。
与野党は衆院予算委理事会で、補正予算案を15日の予算委で採決する日程に合意。同日に衆院を通過する見通しだ。