子どもたちの一大イベント、クリスマスが近づいてきた。子どもが喜ぶプレゼントは何だろうか。サンタクロースは毎年、悩んでいることだろう。今年はクリスマスが過ぎても、年末年始に、久々にかわいい孫が帰ってくる。お年玉におもちゃをプレゼントしようと思っているおじいさんやおばあさんも多いのではないか。おもちゃを扱う家電量販店やショッピングセンターの担当者に、今年のお薦めプレゼントを聞いた。(Sデジ編集部・吉野仁士、政経部・金津智也)
<100満ボルト松江本店>
子どもに人気があるのは、やはりゲーム。ゲーム機といえば家電量販店と考え、100満ボルト松江本店(松江市乃白町)を訪ねた。藤田琢也副店長(40)のお薦めは?

★知育玩具

まず、紹介されたのは知育玩具。知育玩具と聞き「積み木やパズルのようなものかな?」と思ったが、見た目はまるでノートパソコン。マウス操作やキーボード入力もできるという。
多様な機能を搭載していて、アニメキャラクターの案内により、計算問題や文字打ちのゲーが遊べる。小学校の授業にも登場するプログラミングの基礎も学べるという。最近の知育玩具はここまで来ているのかと感心した。もはやおもちゃの域を超えている。
藤田副店長は「昨年は4、5種類だったのが、今年は15種類に増え、売り上げも昨年の3倍」と、人気を実感している。文句なしの一押し商品だという。
★育成ゲーム

次は育成ゲームを紹介された。手乗りサイズのおもちゃで、画面に映る架空のキャラクターを育成していく。1990年代に大流行した「たまごっち」のようなものか。
山陰両県のみならず全国的に人気で、12月に入った時点で売り切れた店が続出するほどだという。子どもは自分以外の生き物に関心を持つと言われている。本物のペットを飼えない事情があるなら、おもちゃを贈るのも一つの手かもしれない。
★ゲームソフト

ゲームソフトの人気作品「ポケットモンスター(ポケモン)」の新作が11月に出た影響もあって、ゲームソフトは全般に売れ行きが好調だという。最近のソフトは店頭で買うだけではなく、メーカーのオンラインストアから直接ダウンロードできるので、手軽に購入できる。
ゲームは子どもに喜ばれる半面、時間を忘れて没頭しやすい。ゲームのやり過ぎにならないよう、使用ルールを決めてプレゼントする家庭も多いようだ。お孫さんにねだられて、すぐにプレゼントする前に、両親との相談も必要だろう。
ここまでお薦めを聞いて、ゲームソフトはあったが、ゲーム機本体は一つもなかった。例年、クリスマス前には新しい機能を加えたゲーム機本体が華々しく登場するのだが。藤田副店長によると、新型コロナウイルスの感染拡大が、今年のクリスマス商戦に影を落としているらしい。
ゲーム機やパソコンの部品に使う半導体が世界的に不足し、工場の操業停止や物流の停滞が続く。ゲームソフトは国内生産だが、ゲーム機本体は海外で生産するメーカーが多く、商戦にも影響が出たという。
<イオン松江ショッピングセンター>
イオン松江ショッピングセンター(松江市東朝日町)では、おもちゃ売り場に特設コーナーが登場していて、クリスマス一色だ。キッズホビー担当の曽田弘子さん(48)が選ぶお薦めプレゼントは?

★知育玩具

ここでも知育玩具が推された。曽田さんは「人気キャラクターで興味を引ける上、親子で遊びながら学べる点が人気だ」という。
イオン松江では特に、人気キャラクター「アンパンマン」の絵と音声を楽しみながら、日本語と英語を学べる絵本型のおもちゃが人気だ。
★スマートフォン(スマホ)型おもちゃ

スマートフォンを触る両親の姿を見て育つため、同じ形状の物に興味を持つ子どもは多いらしい。
スマホ型おもちゃは、スマホの外見に似せただけではなく、40以上の機能を搭載する。スマホのように写真が撮れるほか、計算や漢字の問題を解くミニゲームも遊べる。特に女の子に人気だという。
「家庭用ゲームや大型のおもちゃと違って持ち歩けるので、外出先でも楽しく遊べる」(曽田さん)。買い物中に子どもがスマホを触りたがって困る、という人は1台買ってあげてもいいかもしれない。本物を買うよりもずっと安く、ネットにはつながらないので安全だ。
★鉄道系おもちゃ

昔から列車は、子どもたちの憧れ。発売から50年以上がたつ鉄道系おもちゃ「プラレール」は根強い人気だ。おもちゃのレールを走る様子を間近で見られる上、レールをいろいろ組み合わせて、自分だけの路線を作れる。
曽田さんは「特に昔遊んだことがあるご両親から人気が高い」と言う。ロングセラーだからこそ、両親や祖父母も遊び方を知っている。年末年始の帰省で家族がそろった時には、3世代一緒にわが家の鉄道を作って遊ぶのも楽しそうだ。
<ゆめタウン出雲>
最後は郊外型の大型ショッピングセンターのゆめタウン出雲(出雲市大塚町)のおもちゃ屋、ABCパレードに向かった。プライベートでもおもちゃが好きだという多久田朴チーフ(32)の一押しを聞いた。

★知育玩具

3店舗続けて、知育玩具が真っ先に選ばれた。売り場にも、ポケモンやアンパンマンといった人気キャラのパソコン型おもちゃが並び、取材中に購入したお客さんもいた。ここまで人気の理由は何なのだろうか。
多久田チーフは「昨年からのコロナ禍で、両親が家庭でリモートワークをする機会が増えた。パソコンに向かう両親を見て、同じ形状のおもちゃに興味を持ったのだろう」と推測する。スマホ型おもちゃも含めて、子どもは両親の姿をよく見ている。
★パーティーゲーム(卓上ゲーム)

自宅で家族や友達と一緒にできる卓上ゲーム。コロナ禍で増えたおうち時間を有効活用できるおもちゃとして、昨年から安定した売り上げがあるという。
卓上ゲームは小学校の児童クラブが多く所有し、子どもがクラブで遊んだゲームを自宅でも遊びたがるケースが多々あるとのこと。子どもにとっては、画面上で遊ぶパソコン型おもちゃも人気だが、直接手で触れ、多人数で遊べる卓上ゲームも面白いようだ。
★クッキングトイ

最後に紹介されたのは、クッキングトイ。簡単なお菓子や食べ物を作れるおもちゃだ。市販のあめから綿菓子を作れるものや、豆からポップコーンを作れるものが売れ筋。ほとんどはスイッチ一つで完成するため、機械に疎い祖父母でも孫に作ってあげることができる。
子どもは食べることが大好き。特に女の子は、成長するにつれて料理に関心を持ち始める子も多い。多久田チーフは「子どもが遊びと食事を一度に楽しめる。コロナ禍のストレス発散に最適なおもちゃです」と説明した。
おもちゃ売り場のプロたちから多種多様なおもちゃを紹介してもらった。親世代が子どもの時には見たことがないおもちゃが多かったのではないだろうか。
各店によると売り場が一番混雑するのは、クリスマス直前の22、23日だそうだ。サンタクロースは日常、忙しいのだろう。それまでに売り場で探せば、今回紹介したおもちゃも手に入れやすいかもしれない。今年は例年より少し早くおもちゃ売り場に足を運んでみるといいかもしれない。