あいと地球と競売人の台本を英訳する永島萌絵さん=松江市西川津町、島根大
あいと地球と競売人の台本を英訳する永島萌絵さん=松江市西川津町、島根大

 坪田愛華さんが1991年12月に亡くなる直前に書いた漫画『地球の秘密』が原作のミュージカル「あいと地球と競売人」の台本を英訳する大学生がいる。94年の初演から30周年となる2024年までの完成を目標に掲げ「坪田さんの思いが込められたミュージカルを世界に伝えたい」と願っている。 (平井優香)

 島根大教育学部2年の永島萌絵さん(20)。大学で英語教諭の免許取得を目指す。

 公演プロデューサーの野津博康さん(66)ら関係者によると、かつてはニューヨークでの公演を見据え、英訳の話が持ち上がったが、実現はしなかった。

 愛華さんの父・正さん=18年に死去=は、生前「ニューヨークで公演してほしい」と口癖のように話していたという。

 永島さんは、親交があったミュージカルの演出担当から声を掛けられ、今年の公演に制作助手として参加した。その傍ら、10月から劇中歌「すきさすきさ」の英訳に取り掛かった。リズムに乗って歌えるように語数に気を使い、訳した歌詞は大学教授に添削してもらっている。せりふは稽古の合間に少しずつ台本にメモし、これから、本格的に英訳に取り組む。

 今年、小学生の時以来という公演を見て、愛華さんの意思の強さや、考えの深さに刺激を受けた。「作品に込められた『一人一人が意識を変える大切さ』というメッセージは世界でも共感を得られるはず。(英訳の)責任を感じるが、精いっぱい取り組みたい」と力を込める。

 野津さんは「ミュージカルを全世界に発信したい気持ちはずっとあるし、正さんの願いをかなえたいとも思う。英訳版ができれば海外への台本の貸し出しや日本での公演に字幕が付けられる」と期待する。