東京都内の画廊に匂い立つようなオーラを感じさせる男が入ってきた。ベージュ色のポロシャツに細いズボン姿。真っ白いヨットシューズを素足に履いている。作家三島由紀夫だった。

 1965年、グラフィックデザイナー横尾忠則(85)の初の個展が開かれていた。当時、無名の29歳。知人の紹介で来た三島は「眼鏡と帽子のある風景」の前で足を止めると、不敵な笑みを浮かべる。気に入った様子だった。初対面で胸が高ぶっていた横尾は、その作品の贈呈を約束した。

 「ロマンチックで童...