長引く新型コロナウイルス禍は、取り繕われていた日本社会の格差や分断をあらわにした。課題の重さは感染が収束したとしても変わらない。しかし、私たちが過去に学び、他者への想像力を働かせれば、人々を共感でつなぎ直すことはできるはずだ。未来へ希望を紡いでいくために、作家で日本ペンクラブ会長の桐野夏生さんと、歴史社会学者小熊英二さんが語り合った。
桐野 新型コロナウイルスについて、先生に伺いたいことがあります。ワクチン接種も進みましたけれど、どうも明るい未来が思い描けない。丸2年近いコロナ禍の社会への影響を、どうお考えですか。
小熊 社会に衝撃が加わると、元から進...











