地域活動グループの「どっこい舎」が、所有者が亡くなり廃工場となった松江市寺町の鉄工所を遺族から借り受け、DIY(日曜大工)のレンタルスペースに活用する準備を進めている。初心者らに道具と場所を貸す計画で、役目を終えた町工場に新たな息吹を吹き込み、ものづくりの楽しさを伝える場にしたいと意気込む。 (奥原祥平)
どっこい舎は、住職の小林正康さん(41)=松江市寺町、建築士の梶田裕幹さん(39)=同市中原町、市地域おこし協力隊員の井上香織さん(34)=同市東津田町=の3人で2020年6月に立ち上げ、打ち上げ花火の企画やキャンプ場作りなどに取り組んできた。
改修を計画しているのは、繁華街・伊勢宮の近くで、築約100年になる木造一部鉄骨平屋建ての「舟木鐵工所」(約36平方メートル)。船や特殊ボイラーの機械部品の製造、修理を個人で請け負っていた2代目の舟木保夫さん(享年89)が2020年6月に亡くなり、工場をたたんだ。
どっこい舎のメンバーは街中の立地で歴史を感じさせる風情ある外観に引かれ、工場の存在が以前から気になっていた。所有者の舟木さんが亡くなったことを知り、遺族からは今後についてどうすればいいか分からないと打ち明けられ、活用を申し出た。
「急な仕事の注文にも嫌がることなく対応し、徹夜で仕上げていた」「部品1個単位の注文から引き受け、発注する業者にとってはお医者さんのような存在」―。メンバーがかつての取引先などに聞いて回ると、仕事に打ち込む舟木さんの姿が浮かび上がり、ものづくりに注いだ情熱を引き継ごうと考えた。
レンタルスペースの開所は4月を目標にする。利用者は備え付けの機具や、建築士の梶田さんの道具を使えるようにする。コロナ禍の巣ごもり需要で流行したDIYブームに乗じ、高価な道具を持ち合わせない人たちに広く利用してもらう計画だ。
作業が手伝えるよう、メンバーはアーク溶接の資格も取得した。どっこい舎オリジナル鉄製品の販売や、舟木さんの愛用品の展示も企画する。梶田さんは「実直で丁寧で、仕事に対して一心に向き合っていた舟木さんのことを伝えながら、再びこの場所が活躍するようにしていきたい」と話している。













