出雲地方の貴重な仏像を集めた企画展「祈りの仏像 出雲の地より」を9月16日から10月24日まで、島根県立美術館(松江市袖師町)で開催します。
島根県東部はかつて「出雲国」と呼ばれ、古代以来、地域性豊かな歴史文化を育んできたことで知られます。その出雲において、人々の祈りを受け止めてきた仏像はどのような展開を見せたのでしょうか。
仏像が仏教とともに日本に伝わった6世紀半ば以降、造寺造仏の活動は全国に広まります。出雲には692年に造られた「銅造観音菩薩(ぼさつ)立像」(鰐淵寺蔵)があり、地方における仏教文化の黎明(れいめい)期、すでに地域的特色のある仏像が造られていたことが分かります。
平安時代に入ると樹木の持つ生命力そのものを感じさせる重厚で力強い木彫像が造られました。続く平安後期には都で洗練を極めた、穏やかで典雅な仏像が出雲へもたらされます。武士の世となる鎌倉時代、新旧の有力者により造立された仏像はリアリティーを求める時代性を反映したものでした。
本展では飛鳥時代から鎌倉時代までに制作された尊像が一堂に会し、出雲国の600年に及ぶ仏像の歴史を振り返るまたとない機会となります。ぜひご来場ください。













