地元水産業の振興を目指し、ユーチューブでの映像配信を始める福島利一さん(中央)ら
地元水産業の振興を目指し、ユーチューブでの映像配信を始める福島利一さん(中央)ら

 江津市沖の日本海で定置網漁を手掛ける、真和漁業生産組合(江津市渡津町)の若手漁師が今月、ユーチューブに公式チャンネルを開設する。海上での漁の様子や市場への出荷作業などを配信する計画。漁師の日常生活を身近に感じてもらい、水産業の活性化や担い手確保につなげる。(福新大雄)

 同組合執行役員の福島利一さん(35)を中心に企画した。漁船に据え付けるカメラやドローンを準備し、サゴシやイサキ、イカを捕る定置網の水揚げ風景や、市場に運ばれた魚が競りにかけられる場面を撮影。漁師が休日に家でくつろぐ様子も配信する。撮影や編集など全ての作業を若手漁師が担当する。

 江津市の水産業を取り巻く環境は厳しい。水揚げ量(2019年)は175トンにとどまり、県内最大の漁業基地・浜田港を抱える浜田市の1・4%の規模しかない。担い手は一本釣りの70代前後の高齢者が多く、ほとんどが兼業という。

 同組合は20~30代が多く所属しており、福島さんは「自分たちの世代には、地域漁業の伝統を紡いでいく責任がある。とにかく行動を起こしたかった」と強調。動画を見た流通業など他業種との連携で、販路拡大や加工品開発につなげることも期待し「漁師や市場に広くプラス効果を生み出したい」と力を込めた。