石見銀山遺跡中核地域の大田市大森町にとって2022年は、数多くの「メモリアル」が重なる特別な一年だ。世界遺産登録15周年に加え、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定から35年。町内の展示学習施設や学校、郵便局もそれぞれ節目の年を迎える。住民たちは歴史ある「銀山のまち」の価値や魅力継承へ事業案を練りながら、その先にある登録20周年と銀山発見500周年が重なる27年に目を向ける。
大森の町並みは1987年、重伝建に選定。文化財を生かしたまちづくりを目指すという方向性を、住民が共有した結果だという。その20年後、産業遺産としてはアジア初の世界遺産に銀山が登録された。
環境に配慮し、人と自然が共生する姿は、世界遺産登録を導いた理念とも通ずる。大田市教育委員会の森博之教育部長は、国連提唱のSDGs(持続可能な開発目標)を先取りした地域の魅力を「今のような状況だからこそしっかりと伝えていきたい」と話し、大森らしい情報発信の在り方について心を砕く。
1902(明治35)年建造の旧邇摩郡役所を活用する石見銀山資料館は「開館」から120年となる。
仲野義文館長は「大森住民の地域づくりに対する歴史的な頑張りを観光客が知る場所がなかった」とし、芋代官として有名な江戸期の大森代官・井戸平左衛門の顕彰を目的に館内リニューアルの一環で、大森の歴史をたどる展示コーナーの設置を検討する。
1872(明治5)年開設の石見銀山大森郵便局と大森小学校はいずれも150周年を迎える。
島根県内で5番目に開局した石見銀山大森郵便局。国内の郵便制度が東京|大阪間で始まって1年後の開局で、当時の大森が主要地域として位置付けられた歴史を物語る。町内では旧郵便局を改修した建物が「オペラハウス大森座」として”活躍中”。小川修司局長は「歴史を後世に伝えたい」と話す。大森小学校も秋の学習発表会へ向け、大森の歩みをたどる機会創出を模索する。
5年後の27年は今回以上の記念年となる。世界遺産登録20周年と博多の商人・神谷寿禎による銀山の発見500周年が重なるためだ。楫野弘和大田市長は「(22年を)5年後に向けた第一歩という位置付けにしたい」と先を見据える。
(錦織拓郎)














