大田市温泉津町温泉津の温泉街中心部にある飲食施設「震湯(しんゆ)カフェ内蔵丞(くらのじょう)」が、世界遺産・石見銀山遺跡にまつわる逸話をヒントに、サツマイモや梅を盛り込んだ創作洋菓子「銀山縁起物語」の販売を始めた。地元発の土産物として定着することを狙う。
菓子は、こした島根県産のサツマイモと国産の梅の実を合わせ、バター、卵黄を加えて焼いた。スイートポテト風のなめらかな食感と梅の香りが楽しめる。
江戸時代に「芋代官」として知られる大森代官・井戸平左衛門(1672~1733年)がサツマイモ栽培を奨励して住民を飢饉(ききん)から救った地元の歴史や、石見銀山の鉱員が絹の布地のマスクに梅肉を塗って採掘時に粉じんを防いだという逸話がヒントとなった。
2017年に世界遺産登録10周年を記念した市内の料理・菓子コンテストに出品するため考案。その後、イベントの開催時などに提供しており、レシピの改良を経て今回、定番メニュー化することを決めた。
1箱千円で販売。震湯カフェ内蔵丞の店内や、隣接する共同浴場「薬師湯」、大田市大森町の観光案内所で取り扱っている。
カフェ内蔵丞の内藤陽子代表は「菓子を通してこの地域にまつわるストーリーも知ってほしい」と話している。
(錦織拓郎)