作業小屋に寒のりをつるす漁業者=島根県隠岐の島町湊
作業小屋に寒のりをつるす漁業者=島根県隠岐の島町湊

 島根県隠岐諸島で「寒(かん)のり」の出荷が始まった。一年で最も寒い時季に摘み取られ、風味が強い高級岩のりとして知られる。隠岐の島町内の作業小屋では、漁業者らが手すきした黒紫色ののりが所狭しと並ぶ。

 出荷作業は、正月の雑煮用に続いて年明けから本格化。小船で沖の岩場に出掛け、気まぐれな冬の波高に注意しながら摘み取る。

 「白島のり」のブランドで知られる隠岐の島町西村区では、60年の経験がある大西クニ子さん(81)らが作業。島の最北端の白島海岸で採れたのりを冷水にさらして形を整え、竹製のスジに載せて、寒風が入る小屋にのれんのようにつり下げた。

 今季は例年にない不作で収穫量は少ないが、大西さんは「風味は十分。隠岐の幸を味わってほしい」と話した。 (森山郷雄)