「気軽に参加」をモットーに、若者が政治や町づくりに関心を持つ松江にしようと、専門学校生の三島宇宙(そら)さん(19)=松江市比津が丘4丁目=は、2021年4月に有志団体「松江若者目安箱」を立ち上げた。選挙での候補者アンケートやイベントの企画を手掛け、若者の思いが、大きな波になることを願って活動する。 (広木優弥)
三島さんの原点は、市内の私立高校で3年間励んだ生徒会活動だ。生徒会長として、新型コロナウイルスの影響で中止になった学校祭の代替イベントを企画した。その中で出会った市議など大人に刺激を受けた。
話した大人たちは、若者に政治への関心を持ってもらおうとさまざまな活動をしながらも、打開策を見いだせないでいた。もともと政治に関心があった三島さん自身も、周囲の友人との温度差を感じていた。
どうすれば、人がとどまり、住みやすい松江になるのか。高校卒業直後の21年3月、10日ほどかけてJR松江駅前でアンケートを取った。10~80代の約50人の回答から、子育て施策の要望や町の魅力のなさなど、さまざまな思いを知った。
若者目線で町を変えたい、と設立したのが「目安箱」だ。SNS(会員制交流サイト)のプロフィルには「気軽なノリでいいんです」とつづる。ちょっとでも興味を持てば、意見や議論が生まれ、やがて変化し、松江が若者にとって魅力ある町になると考える。
これまで、昨春の市長・市議のダブル選で候補者にアンケートを依頼したり、昨夏の大雨被害の義援金を募ったりした。今春は、島根原発2号機をテーマにしたイベントを予定する。松江市の担当者に、原発の仕組みや避難計画を解説してもらう内容で、「再稼働の賛成、反対の前に、知ることから始めたい」と話す。
目安箱は今、友人と2人で活動する。まずは、身近に参加できる場所があることが大事だと思っている。「気軽な参加が大きな波を生むことがある。潜在力のある松江を若者の力で盛り上げたい」と意気込む。