大餅を担いで険しい山道を登る地元住民=松江市八雲町東岩坂、星上山
大餅を担いで険しい山道を登る地元住民=松江市八雲町東岩坂、星上山

 【松江】無病息災や家内安全を願い、特大の餅を奉納する伝統行事「大餅神事」(おおもっつぁん)が10日、松江市八雲町東岩坂の星上山(標高458メートル)であり、地元住民が竹にくくりつけた直径70センチの「5升餅」を担ぎ、麓から山頂にある星上寺へ運び上げた。

 400年以上前から伝わる伝統行事とされ、松江市秋鹿町の高祖寺の「大日さん」が、星上寺で賭け事に負けた腹いせに大餅を持ち帰ったことが始まりの一つと言われている。

 法被をまとった約20人が、声高らかに祝い唄を響かせ、汗を拭いながら、約2キロの険しい山道を1時間半かけて進んだ。山頂に着くと、一行は境内を練り歩き、大餅を奉納。集まった別所、東本郷地区などの住民約50人が一年の健康や豊作を祈った。

 かつては2枚の大餅を運んだり女人禁制で行ったりしてきたが、近年の少子高齢化による担い手不足を背景に、大餅を1枚に減らし、女性も加わるようになったという。大餅神事実行委員長の安部恭久さん(49)は「今後も地域住民と協力しながら、数百年続く伝統行事を守っていきたい」と話した。

 (原暁)