東京電力福島第1原発事故の発生から2度目の夜明けを迎えた2011年3月13日朝、安井は経済産業省原子力安全・保安院から首相官邸に出向くよう命じられた。だがこの時はまだ、事故対応とは全く無関係のポストにあった。

 「だから僕は保安院の防災服を持っていない。そこで職員から防災服を借り、それを着て官邸に行った。保安院の院長や次長なら政治家も認識しているが、僕の顔を知っている政権幹部はごく少数。『おまえは誰だ』と聞かれると困るから」

 次なる危機

 「官邸通...