皆生温泉の老舗旅館のエントランスを彩るオブジェ
皆生温泉の老舗旅館のエントランスを彩るオブジェ

 立方体の枠内で、木片のようなものがまるで空中に浮かんでいるかのようー。米子市の皆生温泉にある老舗旅館のエントランスを彩るオブジェは、斬新なデザインで来館者の目を引く。(米子総局・岩垣梨花)

皆生温泉の老舗旅館のエントランスを彩るオブジェ

 手掛けたのは、商業施設の手すりなどを製造する建築金物メーカーの「エス・ケイ・ワイ」(米子市蚊屋)だ。従業員は6人で、らせん階段の手すりを滑らかな曲線に仕上げる確かな技術力を持つ。

 アート作品を作り始めるきっかけは2020年12月。後継者問題を抱えていた同社の事業を、足場工事業のケイ・エス・エンタープライズ(同市富益町)がM&Aにより引き継いだ。

 新社長に就いたのは渡部花子常務(35)。ケイ・エス・エンタープライズの社長である父親からの辞令だった。
 

従業員と図面を見ながら打ち合わせをする渡部花子社長(左)=米子市蚊屋、エス・ケイ・ワイ

 若い女性社長として足場工事の取引先を回り、金属加工ができる旨を伝えた。するとインテリア関連で「こんなものはできないだろうか」といくつか製作依頼があり、てすり製造で培った技術力を生かせるはずと、すぐさま挑戦を決めた。

 ベテラン職人と丁寧に対話し、顧客の要望を細かく伝えるとともに、時にはデザインのアイデアも出す。手掛けた作品は個人宅でサンゴ礁を飾るショーケースや絵画の額縁など。インテリアの他に、移動販売車に搭載する組立式の販売棚などの仕事も舞い込むようになった。今後はオーダーメードだけでなく、オリジナルの規格品も売り出す計画だ。
 

サンゴ礁を飾るショーケース
移動販売車に取り付けて使用する販売スペース

 

 一児の母でもある渡部社長は、写真共有アプリ「インスタグラム」で育児の様子と一緒に作品を積極的に発信している。「顧客からの信頼を大切にしつつ、自社の新たな強みを見つけたい」と力を込めた。

 インスタグラムのアカウントは「hanakowatanabe.sky」。