新型コロナウイルス禍で、食料品や日用品を宅配する買い物代行サービスの需要が高まっている。山陰両県でもオミクロン株による在宅療養者の急増を受けてビジネスが拡大。自治体は生活必需品を届ける支援策を整えるが、マンパワーが限られるだけに、住民生活を維持するインフラとしての存在感は増しそうだ。 (取材班)
両県全域をカバーするイオンリテール(千葉市)のうち鳥取県内の発送拠点となるイオン日吉津店(日吉津村日吉津)では、17日から1週間の売り上げが、前々週の1・5倍となった。
この間、オミクロン株が県内で初めて確認され、感染者が急増した。生鮮品に加えて体調不良時に飲む経口補水液や買い物頻度を抑えるための大容量の冷凍食品などが好調な売れ行きという。
同社はかねて、過疎や高齢化、育児や介護に忙しい消費者を商機ととらえ、インターネット経由での注文品を宅配する事業を展開。精米やビールなど、重い商品が選ばれる傾向があった。松尾正雄店長は「来店客と比べた客単価は約3倍。ビジネスと社会貢献を両立できる」と話す。
島根県全域に配送網を敷く生協しまね(松江市西津田1丁目)は、注文受け付けを従来の書面や電話などに加えて、1月からはスマートフォンアプリを導入。注文品は消費者と対面せず玄関先などに「置き配」するため、外出できない在宅療養者らにも対応する。
鳥取県は各市町村と連携して備蓄する食品などを在宅療養者宅に届ける体制を構築。島根県内でも江津市や邑南町、吉賀町社協が、濃厚接触による自宅待機者を含め、代行を始めた。
今後の感染動向次第で、行政に頼る生活支援だけでは限界を迎える恐れがある。島根県奥出雲町民を対象に宅配サービスを手掛ける横田蔵市(奥出雲町下横田)の梅木崇事務局長は「ニーズに応えられるよう配送を委託する業者と感染対策などで協議したい」と話す。
このほか、マルイ(岡山県津山市)などが宅配サービスを展開する。












