日本で初めての女性首相が誕生した21日。国会内で山陰両県関係の国会議員に話を聞くと、政治を前に進める決意が語られる一方、口が重くなる話題があった。
自民党が連立政権樹立に向け、日本維新の会の提案をのんだ衆院議員定数の削減だ。合意文書に「1割を目標に臨時国会で議員立法を提出し、成立を目指す」と明記。「政治とカネ」問題をすり替えるように急浮上した定数削減に、自民の議員でさえ「いくつかの党で合意したから(削減する)という性質のものではない」「各党各会派の協議が必要で、進め方は慎重に検討しなければならない」などと疑問を投げかける。
臨時国会の会期末は12月17日で、残りは2カ月足らず。なぜ国会議員を削減する必要があるのか。1割削減の根拠は何か。現行の選挙制度のメリットやデメリットは何か。そして政治の信頼回復につながるのか。丁寧な合意形成が求められるが、到底議論が深まるとは思えない。
参院側で進む選挙制度改革の議論は、導入から10年でようやく合区解消に対する各党の理解が深まる一方、解消策を巡っては依然として隔たりが大きい。難しさを実感するだけに拙速な動きに首をかしげたくなる。
きのうの所信表明演説。問題に一言も触れない高市早苗首相の姿に覚悟も感じられなかった。「政治とは独断ではなく、共に語り、共に悩み、共に決める営みだ」との言葉がむなしく響く。(吏)













