第九章 茜唄(二十四)

 矢は行き交うが、船は止まらぬ。二町、一町、三十間、十間と距離を縮め、遂に平家と源氏の鼻先が触れた。

「突っ切れ」

 知盛の乗る茜船を先頭に平...