「地域の身近なパン屋になりたい」と話す林光さん=島根県邑南町山田
「地域の身近なパン屋になりたい」と話す林光さん=島根県邑南町山田

 【邑南】新潟県魚沼市の男性が島根県邑南町にIターンして4月にパン屋を開いた。地元自治会の出店呼び掛けに応えた。A級グルメの町・邑南の食材を生かしたパンの販売に力を入れ、「地域の人に身近な店になりたい」と意気込む。

 新潟県内の調理専門学校を卒業後、新潟市のパン屋に14年勤めた林光さん(34)。起業を考える中で、邑南町出羽地区の自治会が、空き店舗となったパン屋への出店者を募集していることを会員制交流サイト(SNS)で知った。

 林さんは昨年8月に初めて同町を訪れ、きれいな川や山のある町の景観が、生まれ育った魚沼と似ていると感じ、好きになった。「新潟でパン屋を開けば仲間もいて安心感はあったが、誰も知らないところで挑戦したい」と決断。地元住民との面談を経て出店することになり、3月に移住した。

 同町山田に開いた店の名は、愛犬の名前にちなんで「パンとサンドイッチの店 ルル」。3種類のキッシュ(各300円)を販売するほか、石見ポークを使ったサンドイッチなどを並べる。

 開店当日は用意したパンがわずか2時間で売り切れ、翌日以降も来店が相次いでいる。林さんは「県内外からお客さんが来てほしいし、邑南の食材を知るきっかけになればうれしい」と願いながら製造に励んでいる。

 ルルは毎週木~日曜の4日間開く。営業時間は午前10時から午後6時までだが、商品がなくなり次第終了する。(糸賀淳也)