総務省消防庁の「第26回防災まちづくり大賞」で、島根県隠岐の島町の西郷中町町内会連合会(約160世帯)が最高賞の総務大臣賞に選ばれた。県内からの受賞は初めて。自主防災組織と高齢者への声掛け組織が連携した実践的な取り組みが評価された。
西郷港近くにある中町は土砂災害警戒区域に古い街並みが広がり、高齢化率は46%に達する。
避難訓練では、自主防災組織「碧帽(へきぼう)防災会」と声掛け活動を担う「えんつくりの会」が連携。毎週1回の訪問で培ったつながりを生かして高齢者を誘い、世帯参加率は8割を超える。
高齢者も訓練で飲料水の配布などの役割を担い、地元事業所の協力を得て、若い世代が手薄になる昼間の災害にも対応できる体制づくりも目指す。
火災対応では、高台の神社や川沿いの住宅密集地など毎年場所を変えて行い、夜間にも即応できる照明機や最新式の消防ホースのノズルも導入。連合会から補助金を出して火災報知機の普及も図っている。
大田耕士連合会長(74)は「活動を通じて住民同士のつながりが増したのが成果。力を合わせて安心して暮らせる地域をつくりたい」と話した。
地域で防災活動に取り組む団体を顕彰する防災まちづくり大賞は1995年の阪神大震災を機に創設された。2021年度の第26回は全国から80事例の応募があり、総務大臣賞は、ほかに岩手県大槌町の学校や滋賀県草津市の団体が受賞した。
(森山郷雄)