和紙を巻いた白刃を口にくわえ、両方の手に刀を持つ。いずれも触れれば切れる真剣だ。長崎県平戸市の離島・度島(たくしま)にある度島神社(森芳尉宮司)の例大祭で、禰宜(ねぎ)の森健司(37)は、その姿のまま勢いよく舞い、さらに後転し、前転し、頭を床に付けて海老反りの状態でくるくると回った。

 見る者が手に汗を握る舞は、江戸時代に成立した平戸神楽の中の「二剣」。ダイナミックで見応えがあるが、舞手...