性教育ユーチューバー「シオリーヌ」として、フォロワーが約16万人いる助産師の大貫詩織さん(30)と、性に関するコミュニケーションを考えるイベントがこのほど、倉吉市内であった。大人として子どもに向き合う心構えを100人が聴いた。一部を詳報する。 (坂上晴香)
新型コロナウイルス禍で妊娠したかもしれないという2021年の相談は前年の1・8倍に増えた。正しい避妊方法を取っていた割合も半数から3割に減った。休校措置などで性教育を受ける機会が減ったことが理由の一つだと思う。
20年に元女子大生が、就職活動に差し障ると考え、生後間もないわが子を殺害し、公園に埋めたとして殺人と死体遺棄容疑で逮捕された。育児を誰かに代わってもらう、人工中絶など選択肢を教えてあげられる社会であれば、事件は起きなかった。
家庭であれば、何かあったときに「うちの親なら力になってくれる」と子が思える信頼関係を築いておくことが大切だ。そのため、性についての会話をするときに親が心掛けることがある。
(1)うそをつかない。
「赤ちゃんってどうやってできるの?」と尋ねられ、ごまかしてしまうことがある。いったんついたうその訂正は難しい。「調べて後で教えるね」と、保留にするのも一つの手だ。
(2)子どもの気持ちをそのまま受け取る。
性に関する質問は子どもにとって単なる知的好奇心だ。「そんな恥ずかしい言葉を使わないの」と、叱りたい気持ちをこらえ、受け止めることが大事だ。
(3)性別で判断しない。
「男の子だから電車や虫が好き、女の子だからプリンセスが好き」など大人の世代は無意識にジェンダー(社会的な性差)感覚が染み込んでいる。自分で思うことはよいとして、子どもに押し付けていないか。子どもの趣味や志向の選択肢を狭めないようにしよう。
(4)親だけで抱えない。
子育ては社会全体で助け合うものだ。性についての教育も親だけで教えようとせず絵本などいろんなツールを使っていい。
(5)子どもを信用する。
早くから性について伝えると「興味本位で悪いことをするのではないか」との懸念や「子どもを汚れさせたくない」など親の気持ちが先行することが多いが、上手な子離れが大切。質問には答え、教えないことで性についてふたをしないようにしよう。
何歳まで子どもと一緒にお風呂に入るべきかとの質問がある。サポートする必要がなくなれば、一緒に入らなくていい。体を洗う練習をさせ、小学校低学年から親離れするのが理想だ。
性の話に抵抗を感じる大人が多いのは、長年すり込まれてきた社会に漂う偏見だと思う。いやらしいものではなく、生きていく上で大事なことだと捉え直す必要がある。親子の日常会話で少しずつ話し、信頼関係を築くことが有効だ。
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イベントは鳥取県男女共同参画センターと、民間団体の「子どもと女性のエンパワメント e-ラボ」が企画した。