序章 (十二)

 ホテルの高層階にあるこのバーで、中津川と向き合うのはもう何度目だろうか。板垣は久しく健やかな眠りに恵まれない頭でぼんやりと考えた。

 卓にはいつもと寸分違わぬ位置...