とび1級技能士を取得した島津裕子代表=松江市西津田2丁目
とび1級技能士を取得した島津裕子代表=松江市西津田2丁目

 建設現場で、高所作業を担う技能や知識を問う国家資格「技能検定・とび1級技能士」を、建設会社・結心(ゆいしん)恒産(松江市西津田2丁目)の島津裕子社長(51)が山陰両県の女性で初めて取得した。家族の支えを受けて合格し「建設現場の代表者として従業員へ自信を持って指導できる」と胸を張る。 (中島諒)

 とび技能士は1~3級がある。実技と学科に合格すると取得でき、工具の取り扱いや管理職としての労働諸規定の把握、建設物の組み立て作業などが課され、合格するには幅広い知識と現場経験が求められる。

 建設現場で20年以上勤めてきた島津さん。常に危険が伴う現場作業に携わる上で、後進の育成や安全管理の徹底につなげようと1級の習得を志した。

 2019年8月に初めて受験し、1人で足場の組み立て、屋根付き2階建ての小屋を組み立てる実技試験を、息子の海里さん(27)から指導を受けながら、練習に励み一発合格を果たした。

 その際、学科は不合格になり、今度は娘の梨都さん(26)の指導を受けて猛勉強に励んだ。20年は新型コロナウイルスの影響で検定が中止となり、21年8月に2度目の受験。試験では梨都さん作成の予想問題集が当たり、自信を持って合格したという。

 「息子に技術を、娘に知識を聞きながらの合格。うれしかった」と振り返る島津さん。現在は現場の監督、指導に取り組む。1級技能士に合格したことで会社の信用が高まった。

 まだ女性の従事者は少なく、若者のなり手不足も続く建築現場の現状を変えたいという思いは強い。「『自分でもできたからあなたもできる』ということをしっかり伝え、女性や若者がもっと増えたらうれしい」と願っている。