患者会を立ち上げた桑原慎太郎さん=松江市内
患者会を立ち上げた桑原慎太郎さん=松江市内

 山陰両県の「AYA世代」(15~39歳)のがん患者同士が交流する患者会が4月、新たにできた。治療が進学や就職、結婚など人生の節目と重なるAYA世代は悩みが特有で、孤立しがち。交流会などを通してネットワークを広げ、互いに支え合う。

 立ち上げたのは、島根県出雲市の会社員、桑原慎太郎さん(27)。2017年11月に脳腫瘍と診断され、手術や化学療法などのために約5カ月入院した。入院中、周囲は年の離れた患者ばかりで孤独を感じ、将来への不安も募った。

 だが、山陰両県には同世代で共有できる場がなく、桑原さんは19年に島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)のがん患者・家族サポートセンターとの共催で交流会を始めた。

 新型コロナウイルスの感染が広がってからはオンラインで開き、これまでに10~15人が参加。少しずつ輪が広がるのを実感する一方で「これまでは支援を受けている感じがあった。当事者だけでやってみたい」と思い立ったという。

 団体名は「AYAむすび 山陰若年性がん患者会」。桑原さんが代表を務め、肺がん治療中の島根県内の30代女性と活動する。対象は、39歳ぐらいまでにがんになった山陰両県在住の人。今月のオンライン交流会を皮切りに、コロナの感染状況を見て対面での交流会や勉強会を検討する。

 県によると、過去5年の期間内にがんと診断され、17年12月時点で生存しているAYA世代の患者は763人。まずは患者会の存在を知ってもらうため、交流サイト(SNS)で発信する。

 オンライン交流会は30日午後8時から、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で開く。参加応募は29日締め切り。桑原さんは「自分たちは一人じゃない。こういう会があることだけでも知って、心が楽になってもらえるとうれしい」と呼びかける。

 問い合わせは患者会、メールayamusubi8@gmail.com

      (吉田真人)