荒れ地から救い出したボタンを手入れする石橋里佳さん(左)=島根県隠岐の島町北方、隠岐五箇ぼたん園
荒れ地から救い出したボタンを手入れする石橋里佳さん(左)=島根県隠岐の島町北方、隠岐五箇ぼたん園

 オーナーが亡くなり、一時は荒れ地になった島根県隠岐の島町北方のボタン園で今年も600株が満開となった。4年前、深い雑草の中でひっそりと花を咲かせる姿に親戚がいたたまれなくなり、多くの人の協力を得て園内を再整備した。維持には労力と資金力が必要だが「生きているボタンのために」と、連休中も雑草を刈り続けている。(鎌田剛)

 ボタンは「一夜ヶ嶽農場御岳ぼたん園」の目玉として1990年ごろに地元の元教諭、永海丹(まこと)さんが植えた。最盛期には2万本が咲き誇り、観光バスも乗り付けるほどの観光地となっていた。2014年に永海さんが亡くなり、直後は知人が管理を続けたが、敷地は2ヘクタールと広く、18年ごろには雑草や背丈のあるカヤにのみ込まれてしまった。

 ただ、ボタンの一部は雑草に追いやられながらも生き残り、カヤの間から鮮やかな花をのぞかせていた。

 永海さんの親戚で近くに実家がある教員、石橋里佳さん(47)=知夫村=が「ボタン園は負の遺産になったが、毎年花を咲かせている。誰かが守らねばならない」と思い立ち、18年夏に再整備を始めた。ボランティアと一緒に雑草をかき分けて生き残った株を掘り起こした。計200株を集めて移植し、新たに400株とシャクヤク100株を購入して再整備した敷地に植えた。20年のシーズンから「隠岐五箇 ぼたん園」として観覧できるまでに再生し、今季も過去を知る住民たちを中心に1日10~20人が訪れて、遅咲きのボタンを楽しんでいる。

 ボランティア向けの送迎や食事で費用がかかるため、石橋さんは今年の維持管理を母の史子さん(75)と2人でやることに決めた。連休は午前5時から作業を始め、夕方まで手入れに汗を流す。入園は無料。石橋さんは「後継者がいなくなっても生き続ける花の姿を見て、考えてほしい」と話している。