米子市を拠点に活動する視覚障害者のための音訳ボランティアグループ「ザ・スピリッツ」が今年で結成30年を迎えた。メンバーは「障害者のため、ちょっとでも役に立ちたい」との思いを込めた声を届け続ける。
鳥取県広報誌「県政だより」の音訳ボランティア集団として1992年に発足。現在は30~70代の約30人が市町村の広報誌や書籍を読み、音声を録音する。
広報誌の音源は県ライトハウス点字図書館(米子市皆生温泉3丁目)が複製し、個人宅などへ郵送する。門脇保身館長(67)は「職員での対応は難しく助かる」と感謝。書籍分は視覚障害者向けの会員制ウェブサイト「サピエ図書館」に載せ、全国の個人や図書館などへ発信する。
録音は音訳者がマイクに向かって文章を読み上げ、録音担当者ら複数人は、読み違えや読み残しがないか、一言一句を繰り返し聞いて確認する。27ページ建ての市報5月号の音源制作は、6時間程度かかった。漢字や単位の読み方などの下調べを含めると、手間暇はさらに増す。
聞きやすい音声にするため、感情移入せず、淡々と読むことを心がける伊達澄子代表(71)=米子市東福原8丁目=は「メンバーのおかげで活動を継続できた。これからも当事者の方に喜んでもらえるよう頑張る」と話した。
(柴田広大)











