「曳船」(左)などの作品を眺める来館者=安来市古川町、足立美術館
「曳船」(左)などの作品を眺める来館者=安来市古川町、足立美術館

 【安来】島根県安来市古川町の足立美術館で企画展「深掘り日本画」が開かれ、明治-昭和期の作品15点の制作背景を掘り下げて紹介し、来館者の目を引いている。西洋画に刺激され、新たな技法を模索していた当時の日本画家の姿がうかがえる。31日まで。

 春季特別展「日本画歳時記」と併せ開催。明治期の1901年、若手だった横山大観が描いた「曳船(ひきふね)」は後に評価される技法「朦朧(もうろう)体」を使った。

 船乗りが船を引く様子が題材。従来の日本画で一般的な技法の線描をやめ、絵の具をはけで広げてぼかし、水辺の湿った空気感を表した。斬新過ぎて当時は酷評されたという。

 04年ごろ、竹内栖鳳(せいほう)が手がけた「獅子」は欧州の動物園でライオンを見て写実的に描いた。師匠の手本を見て描くことが多かった日本画が、実物を見て描くスタイルに変わりつつあった時代の作品。雄ライオンの特徴を最も表す頭部付近に絞った構図も面白い。

 年中無休。入館料は大人2300円、大学生1800円、高校生千円、小中学生500円。(桝井映志)