イザナミノミコトが葬られたとの伝承が残る広島県庄原市の比婆山(1264メートル)が山開きを迎えた。存続が危ぶまれるJR木次線と芸備線の結節点・備後落合駅が付近にある比婆山一帯の観光関係者は、登山客の安全を祈るとともに例年以上の盛り上げを誓った。
古事記によると、イザナミは、出雲国と伯耆国の境にある「比婆之山」に葬られたと伝わる。御陵(墓所)は、安来市伯太町や広島県庄原市など複数地点に伝承が残る。
登山口があるひろしま県民の森であった神事には関係者や登山客約70人が集まり、玉串をささげて夏山登山の安全を祈願した。このほか、地元に伝わる神楽の披露や、イザナギノミコトとイザナミが登場する国生み神話を紹介する紙芝居もあった。
昨年と一昨年は新型コロナウイルスの影響で神事のみの山開きだった。地元の鉄道が揺れる中、山開きを主催したNPO法人西城町観光協会の山口和男会長(51)は「例年とは違う思いで山開きに臨んだ。大勢の方にお越しいただけるよう力を尽くしたい」と意気込んだ。
観光協会は、鉄道と電動自転車を絡め、駅から比婆山など周辺を巡るプランを検討している。(新藤正春)