出雲市の北側に連なる「出雲北山」の一つ、旅伏山の山頂からの眺め
出雲市の北側に連なる「出雲北山」の一つ、旅伏山の山頂からの眺め

 もうすぐ春の大型連休。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、遠出には慎重になる人が多いのではないか。「三密」を避けて楽しめるレジャーといえば、近場のハイキング。島根県内外のさまざまな山を登っている松江ハイキングクラブの白築秀美会長(68)に、日頃あまり登山をしない人でも登りやすい山を教えてもらった。(Sデジ編集部・宍道香穂)

▷登山の服装、気をつけること
 山に登る時は動きやすい服装で、重ね着がお薦めという。例えば、半袖の上に長袖や上着を着ると、暑さ、寒さに合わせて体温を調整しやすくなる。白築会長は「やぶに引っかかってけがをしたり、虫に刺されたりするのを避けるため、肌を露出しない服装が良い。半袖になる場合はアームカバーを付けるなど、なるべく肌を覆う工夫を」とアドバイスした。

 日差し対策の帽子やタオル、雨具も持参したい。白築会長は「雨具は風よけや防寒にも役立つ。山の天気は変わりやすいため、どんなに天気が良くても雨具の持参を」と呼びかける。
靴は登山靴やスニーカーなど歩きやすいものがいい。靴についても、肌を露出させないよう、足をしっかりと覆う形状のものを選びたい。

 また、白築会長は「暑い時期は熱中症対策でこまめに水分を取ると良い。飲み物は水がお薦め。けがをした部分を洗うなど、万が一の時に活用しやすい」とアドバイスした。スポーツドリンクを持って行く場合も、水を一緒に持って行くよう心掛けたい。飲む水の量は、1時間あたり300ミリリットルが目安という。

▷今年初めてハイキング
 今年初めてのハイキングをしてみようと、出雲市の旅伏山(標高456メートル)に登ってみた。旅伏山は出雲市の北側に連なる「出雲北山」の一つで、山頂では眼下に広がる斐川平野の穏やかな風景を見ることができるという。

旅伏山の登山口。案内看板や駐車場、トイレが整備されている。

 松江市中心部から車で約30分、出雲市平田町を通過し、国富町にある登山口に到着。登山口には駐車場とトイレが整備されている。すぐ近くに日本庭園が有名な康国寺があり、康国寺を目指すと分かりやすい。

 駐車場の入り口にある登山道に進み、頂上を目指してスタートした。登り始めて30分ほどは急な傾斜が続く。運動不足な身では序盤から息が上がり、登り切れるだろうかと不安になった。今さら引き返せない。一歩一歩とクリアしていく。やがて傾斜が緩やかになり、ひと安心。登山道は整備されていて、急な坂には階段が設置されているため登りやすい。

階段が設置され、急な坂でも登ったり降りたりしやすい

 当日の天気は晴れ、気温は23度。登山するには快適で、じんわりと汗ばむ顔に時折、爽やかな風が当たり、心地良い。見上げると、木々の葉に太陽の光が差し、青々と輝いている。新緑の季節ならではの生き生きとした風景に、活力をもらえる。登山道の脇にひっそりと咲いているスミレやツバキ、鳥のさえずりにも癒やされた。

太陽の光を浴びる新緑が美しい
道端にちょこんと咲いているスミレに癒やされる
緩やかな道は、のんびりと散策を楽しめる

 緩やかな道をのんびりと歩いたり、息を切らしながら急な道を登ったりすること約1時間。最後の坂をやっとのことで登ると、途端に視界が開け、山頂に到着した。山頂は木が伐採され、視界がいい。木製のベンチやテーブルのほか、あずまやもある。

山頂広場の様子。あずまやがあり、ゆったりと休憩できるのがうれしい。
 

 山頂広場の南側から景色を見下ろすと、広大な平野と斐伊川が広がり、南西にはうっすらと三瓶山が見えた。穏やかな眺めや心地よい春の風、ウグイスの鳴き声に、心が洗われる。日頃、やるべきことや時間に追われがちな人は、無心で山を登って、心地良い疲労感の中、山頂でぼーっと景色を眺めると、リフレッシュできそう。天気が良かったこともあり、ハイキングの魅力を味わうことができた。次もどこかに登ってみたくなった。

山頂からの眺め。穏やかな風景に心が洗われる。

 白築会長が初心者に勧める山は以下の通り。

▷安田要害山(281メートル)

山頂からは米子市街や中海が眺められる=安来市伯太町安田関、安田要害山

 安来市伯太町の安田要害山は山頂に着くと、東側に大山が見える。登山口から山頂までにかかる時間の目安は40分。

▷月山(184メートル)

樹木が伐採され遺構がよく見えるようになった月山富田城跡=安来市広瀬町広瀬

 安来市広瀬町の月山は山頂広場にカエデの一種「コハウチワカエデ」の木がある。樹齢400年と推定され、高さ約20メートルの大木。春の大型連休は新緑が美しい季節。山を登り切った達成感や爽快感とともに、カエデの爽やかな新緑を楽しめそう。登山口から山頂までにかかる時間の目安は30分。

▷京羅木山(473メートル)
 松江市と安来市にまたがる京羅木山は白築会長によると「登りごたえがある山」。山頂からは大山が見える。登山口から山頂までにかかる時間の目安は60分。

▷和久羅山(262メートル)、嵩山(330メートル)

山の輪郭があおむけに寝転んだ仏像のように見える

 松江市の北東部に連なる和久羅山と嵩山は、山の輪郭があおむけに寝転んだ仏像のように見えることから「寝仏山」と呼ばれることもある。登山口から山頂までにかかる時間の目安はいずれも30分。
 【動画あり】寝仏の額にへこみ?現地の様子を確認してみた(Sデジオリジナル記事)

▷三瓶山 女三瓶(953メートル)
 大田市三瓶町の国立公園・三瓶山の「女三瓶」は、急勾配が続く「男三瓶」と比べて登りやすいという。登り口の「東の原」から入り、なだらかな斜面が続く。山頂付近は広場やベンチが整備され、ゆったりと休憩できる。登山口から山頂までにかかる時間の目安は80分。

▷瀬戸山城跡(630メートル)

木々が伐採され、見晴らしが良くなった瀬戸山跡=2021年7月、島根県飯南町下赤名

 島根県飯南町下赤名の瀬戸山城跡は中世の山城で、登山をしながら歴史も感じられる。眼下に赤名の町が広がり、大山が見えることもある。登山口から山頂までにかかる時間の目安は40分。

▷出雲北山 旅伏山(456メートル)
 出雲市の北側に連なる「出雲北山」の一つ。山頂からは斐川平野の穏やかな風景を楽しめる。登山口から山頂までにかかる時間の目安は50分。

▷船通山(1143メートル)

山頂付近でかれんな花を咲かせるカタクリ

 島根県奥出雲町と鳥取県日南町にまたがる船通山は「カタクリの里」とも呼ばれる。尾根に沿ってカタクリ畑が広がり、春の大型連休の時期は特に見頃という。ブナの新緑も楽しめる。登山口から山頂までにかかる時間の目安は90分。

▷道後山(1268メートル)

登山道から仰ぐ紅葉の道後山。中央右寄りが頂上

 道後山は鳥取県日南町と広島県庄原市の境にあり、中国地方の山の中では最もなだらかで登りやすく、登山初心者にお勧めという。登山口から山頂までにかかる時間の目安は60分。

▷吾妻山(1139メートル)

吾妻山(島根、広島の県境にまたがる吾妻山山腹の大膳原から撮影)

 島根県奥出雲町と広島県庄原市にまたがる吾妻山も緩やかで初心者にお勧めという。登山口から山頂までにかかる時間の目安は40分。

▷三平山(1010メートル)

三平山から大山南壁の全容を望む

 岡山県真庭市、蒜山高原の西部にある三平山は、頂上からの眺めの良さが魅力。開けた山頂から四方が見渡せ、蒜山の山々や大山といった壮大な景色を楽しめる。登山口から山頂までにかかる時間の目安は40分。

 4~7月の登山で気をつけるべき点として白築会長は「ブユやアブ、蜂、マダニ、ツツガムシといった虫に注意を」と話した。肌が露出しない服装に加え、虫よけネットや虫よけスプレーも活用しよう。白築会長によると、出雲北山山域は4~10月にかけてツツガムシが活発に活動するため、より注意が必要という。足元をしっかりと覆い、侵入を防ぐことが大切だ。

 また、白築会長は「自然を破壊しないよう、配慮してもらえたら」と話す。春の大型連休中は、登山中にさまざまな花を楽しめる。きれいだからと持ち帰ったり、写真を撮るのに夢中になって踏み荒らしたりしないよう、注意が必要だ。ごみを持ち帰ることも徹底したい。マナーや安全に気をつけて、爽やかにハイキングを楽しみたい。