浦富海岸周辺で見つかったイボカギナマコ=鳥取県岩美町牧谷
浦富海岸周辺で見つかったイボカギナマコ=鳥取県岩美町牧谷

 鳥取県岩美町の浦富海岸周辺で「イボカギナマコ」が見つかり、初めて完全な形の標本になった。1881年に神奈川県沿岸で新種として報告されて以降、体がちぎれやすくきれいな個体の確保は難しかった。

 町内の山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館によると、標本は複数あり最大で体長15センチ、太さ5ミリの個体で保存液に漬けられた。共同で調査する和歌山県立自然博物館に所蔵されている。

 世界でも日本近海でしか発見の報告はなく、浦富海岸周辺のほかに新潟の佐渡島沿岸や瀬戸内海で見つかっている。生きたままの発見例が少ないため、生態はほとんど未解明。自然館学芸員の小矢野悠造さんによると水深4、5メートルの海底にある、きめの細かな砂の中で見つかることが多いという。

 自然館は2017年に専門家と浦富海岸周辺の調査をしたところ、ナマコらしき生体を発見。研究者により、DNAや体の構造などを解析した結果、イボカギナマコと判明。調査報告が5月にニュージーランドの科学雑誌に掲載された。

 自然館は7月10日まで生きた別の個体を展示している。小矢野さんは「一見ナマコに見えない不思議な生き物。ぜひ一度見てもらいたい」と話した。
      (藤井俊行)