JR旧大社駅の駅舎内部を見学する来場者。手前は昭和初期の内部写真=出雲市大社町北荒木
JR旧大社駅の駅舎内部を見学する来場者。手前は昭和初期の内部写真=出雲市大社町北荒木

 保存修理している国の重要文化財・JR旧大社駅(出雲市大社町北荒木)の現場見学会が25日始まり、修理開始後初となる駅舎内部の公開に、かつての利用者が往時を懐かしんだ。会場周辺では関連イベントもあり、親子連れでにぎわった。

 旧大社駅は1924年築で、近代和風建築の傑作とされる。JR大社線廃止で役割を終え、老朽化のため市が2020年12月から5年の工期で保存修理している。

 3月の見学会は屋根の構造を公開した。2回目の今回は屋根瓦やしっくいの壁の撤去が終わったため、駅舎内部を見ることができる。

 木造1階の建物は当時の部材がほぼ残っており、むきだしになった柱やはりは高価だったベイマツが使われている。旧出札室は和風建築ながら西洋風のデザインが取り入れてある。来場者は天井を見上げて構造を確認したり、昭和初期の内部写真(京都鉄道博物館所蔵)のパネルと見比べたりしていた。

 高校時代、通学で毎日利用したという青木実さん(72)=出雲市大社町修理免=は、行商が大社港で水揚げされた魚を構内で売っていたことを思い出し「よく建物が残ってくれた。当時が懐かしいね」と感慨深げに話した。

 関連イベント「大社駅はじまりミニフェスタ」はJR西日本米子支社、出雲市、山陰中央新報社でつくる実行委員会が開催。山陰の特産品セットが当たるクイズラリーや、駅員などの制服着用体験、缶バッジ製作があり、子どもたちが楽しんだ。見学会、イベントともに26日もある。 (松本直也)