大規模な通信障害がまた発生した。KDDI(au)の音声通話やデータ通信の不調は丸2日以上続き、最大で3900万回線に影響した。

 長時間にわたる障害で救急通報や身近なサービスに支障が生じ、利用者への情報提供にも大きな課題を残した。障害の原因を究明するのに加え、発生後の対応や再発防止策を利用者の視点で練り上げる必要がある。

 通信障害は近年、NTTドコモ、ソフトバンクでも起きている。そのたびに多くの利用者は不安や困惑を感じネットワーク社会の中で孤立感を味わう。

 KDDIの障害では、登山中に足を骨折した高齢男性が救助を呼ぼうとしたが、携帯電話がつながらなかったり、高齢者の見守りサービスで安否確認ができなくなったりしたケースがあった。気象観測でも、気温や降水量などのデータを取得できない地点が続出した。

 スマートフォンなどを結び付ける大規模な通信網は、仕事や生活を便利にするだけでなく、暮らしの安全を支える基盤になっている。自動車事故を起こした場合、コールセンターなどに自動通報するサービスや、宅配便の配送確認などにも悪影響が生じたという。

 通信網を利用しているサービスは大きく広がっており、通信各社は障害を未然に防ぐため万全の備えをするのは当然だ。

 それに加え、障害が発生した場合の対応をもっと工夫する必要がある。特に重要なのは、通信が途絶し困っている利用者にきめ細かく情報が伝わるようにすることだ。

 災害に直面した時と同じように多くの利用者は、自分たちがどう行動すればいいのか判断する材料を求めている。通信会社の情報開示が遅れれば、根拠のないうわさが広がり、混乱を拡大しかねない。携帯端末を自在に使いこなせるユーザーばかりではない。高齢者を念頭に置いた広報は特に重視してほしい。

 障害が起きている通信サービスは何か、復旧の見通しは立っているのかどうか。代替手段はないのか。自社のホームページや交流サイト(SNS)に掲載するだけでなく、新聞、テレビ、ラジオなど多様な媒体に情報を提供し、正確な状況が利用者に伝わるように工夫してほしい。

 KDDIの障害が長引く中で、総務省消防庁はツイッターで「緊急時は固定電話や他社の携帯電話で119番通報してほしい」と呼びかけた。公的機関の緊急時の対応として、参考になる事例だと思う。

 障害は土曜日の未明に発生し、物流システムや銀行の現金自動預払機(ATM)などへの影響が次々に明らかになった。

 だが、総務省がKDDIに連絡要員を送り込んだのはその日の夜になってからだ。金子恭之総務相やKDDIの社長が記者会見を開いたのは発生から30時間余りたってからだった。事態の深刻さを考えると、もっと早く説明があってよかった。同省やKDDIには大規模障害が発生した際の対応の迅速化を求めたい。

 通信の技術革新は急ピッチで進んでおり、各社は通信網の高度化やユーザー獲得で厳しい競争にさらされている。しかし最も重要なのはネットワークの安定性を確保することだ。KDDIは通信事業の公共性をあらためて自覚し、通信基盤の保全と障害の再発防止に全力を傾けてほしい。