決起集会で気勢を上げる候補者と支持者=松江市朝日町、松江テルサ
決起集会で気勢を上げる候補者と支持者=松江市朝日町、松江テルサ

 参院選は10日の投開票に向けて最終盤に突入した。鳥取・島根合区選挙区(改選数1)には5人が出馬し、自民党現職と立憲民主、共産両党の新人2人による事実上の三つどもえの戦い。各候補とも組織の動きに課題を抱えながら、最後の追い込みを図る。 (取材班)

 「これからの参議院を背負って立つのは間違いない」。6日、出雲市内で応援のマイクを握った自民の茂木敏充幹事長が、3選を目指す党現職の青木一彦候補を持ち上げた。茂木幹事長は青木候補が所属する茂木派の領袖(りょうしゅう)。同じく姿を見せた小渕優子組織運動本部長と青木候補を促し3人で手をつないで上げ、400人の聴衆を沸かせた。

 5日は福田達夫総務会長、7日は加藤勝信前官房長官と、大物弁士が次々と来県。街頭には聴衆が集まる一方、陣営は選挙への関心の低さや組織の緩みを危惧する。

 1日に党地域支部幹部を集め、島根県内3カ所で開いた情勢報告会では野党の存在感が薄いことから「盛り上がらない」「大丈夫だという楽観的な意見が多い」との声が出た。県全域で展開する参院選は組織固めの貴重な機会だが、県東部の地域支部幹部は「締まらない選挙だ」と冷ややかだ。

 保守地盤に挑む野党側は、いまだに状況打開の糸口が見いだせない。

 知名度の低さが克服できていない立民新人の村上泰二朗候補。「誰?」「どこの人?」―。選挙戦終盤にもかかわらず、米子市内の連合鳥取選対事務所からの電話に対する有権者の反応は鈍く、立民の湯原俊二衆院議員の地盤である鳥取県西部でも支持を固めきれていないとの見方が強い。

 県中部、東部でもそれぞれ1日600件ほど電話をかけるが、同様の反応が半分以上を占めるという。

 頼りの連合傘下の組織で足並みがそろわない。自治労鳥取県本部最大の構成組織となる県職労は、村上候補が県職員時代に非組合員だったため推薦せず、自治労の全組合員の約3分の1に相当する2600人が自主投票となる見通しだ。

 8日は特に浸透の薄い島根県西部で選挙カーを走らせる予定で、立民島根県連の川井弘光幹事長は「起死回生の一手はなく、とにかく期間いっぱい名前を連呼するしかない」と話す。

 共産新人の福住英行候補の陣営は、全国で5人の当選を掲げる比例代表の得票を含め支持拡大を図る。党の両県委員会は、党員らが電話や対面で有権者に訴える「対話」を重視する。

 鳥取側は昨秋の衆院選後、参院選の投開票までに約8万人との対話を目標に掲げたが、選挙を支える党員の高齢化や新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、6日時点で実行できたのは3割にとどまる。鳥取市内の60代女性党員は「コロナ禍で会う人が減り、対話を増やそうにも、どうしていいか分からない」とこぼす。

 10万人を目指す島根側も状況は同じ。2日に松江市内の集会で島根県委員会の上代善雄委員長が約80人に「重大な立ち遅れの現状。勝利のために団結していこう」と呼びかけたものの、達成できたのは6日時点で目標の4割しかなく、選挙区も比例代表も票の積み上げが見通せない。

 NHK党新人の黒瀬信明候補はユーチューブやツイッターで主張を発信。政治団体・参政党新人の前田敬孝候補は公共交通機関で移動して訴えている。

 

■鳥取・島根合区 選挙区立候補者<改選数1、届け出順>

黒瀬 信明37 N新

福住 英行46 共新

村上泰二朗34 立新

前田 敬孝60 諸新

青木 一彦61 自現(2)(公(推))