若手職員に向けて、仕事に向かう「心得」を発信し続ける島根県職員がいる。総務省から県に出向し、財政課長を務める芳賀健人さん(32)=福島県出身=は県職員専用サイトに、仕事の段取りのこつや人間関係を円滑にする注意点など「日々の仕事の一工夫」をまとめ、定期的に投稿。毎回5千人程度の職員が閲覧し、人気を集めており「在任中に何か島根に残したい」と始めた取り組みが徐々に波及している。 (白築昂)
「社会人1年目は生活リズムをつくることを心がけて」「報連相(報告・連絡・相談)は一人で仕事を抱え込まないための身を守る手段」「若いころの特権は失敗権と質問権」-。職員専用のポータルサイトで昨年4月以降続ける投稿は、31回に上る。1回分はA4用紙に換算して4~5枚程度。メモの取り方、スケジュールの組み方、説明の仕方など、総務省や出向先の長崎県勤務で得た教訓や感覚を率直につづり「手をつけず放置した結果、爆発してしまった案件もある」といった失敗談も載せる。
組織における人材育成の重要性を意識したのは入省3年目。職員採用担当として学生の進路相談や入省後のケアに当たる中で「人をどう育てるか」という問題に直面して以来、働く上でのテーマにしてきた。
2019年に出向し「島根創生計画」の策定を担当する傍ら、若手職員と膝詰めで議論するうち「自分の考えを伝えられないか」と思い立ち、投稿を始めた。
職員からは「仕事のやり方を言語化してもらった」「モチベーション向上につながる」といった感想が100件以上届いたという。
芳賀さんは「意識する、しないでは仕事の質には雲泥の差が生まれる。質を高めることが最終的に県民のためになる」と思いを込め、次回に向け新たな文書をつづる。投稿は一般公開していない。