職員に出迎えられて初登庁する上定昭仁市長=松江市末次町、市役所前
職員に出迎えられて初登庁する上定昭仁市長=松江市末次町、市役所前

 松江市長選で初当選した上定昭仁市長(48)が26日、同市末次町の市役所に初登庁した。関係機関と連携し、新型コロナウイルスや人口減少の対策を進めつつ、市民に寄り添う市政運営をすると強調。「前例にとらわれず、先進的な取り組みやアイデアを導入し、松江に新しい風を吹かせる」と語った。

 午前9時、市役所前で職員や市議らに出迎えられた後、職員約70人に訓示。市民感覚▽一歩先を考える視点▽初心を忘れない-の三つを心掛けるよう求めた。

 就任会見では、全国で感染拡大の「第4波」に見舞われる新型コロナの対策に最優先に取り組むと説明。

 ワクチン接種を円滑に進め、影響を受ける地元経済の支援策については、政府系金融機関での勤務経験を生かし、早急に検討する考えを示した。

 市役所本庁舎の建て替え事業で、着工延期を求める市民運動が起きたことを念頭に「市民との対話を重視し、市役所内を含めて風通しの良い市政を目指す」とも述べた。

 上定市長は日本政策投資銀行松江事務所長などを経て、任期満了に伴う18日投開票の市長選で初当選した。任期は24日から4年間。(片山大輔)

 

一問一答 円滑なワクチン普及に力

 

 上定昭仁市長の記者会見での一問一答は次の通り。

 ―見直しを求める市民運動が起きた市役所本庁舎建て替え事業はどう進めるか。

 「現計画を進めることを前提に、できるだけ創意工夫し、時代のニーズに合った庁舎建設を進める」

 ―市政運営の方針は。

 「市民と対話できる仕組みを構築し、市長や市役所からの多様な媒体を活用した情報発信を強化する。庁内も市民の意見を職員が受け取って市長に伝え、新たなアイデアが出てきた時に皆で考えていく、風通しの良い市役所にする」

 ―選挙戦では政党など約140団体から推薦を受けた。支えられた組織との距離をどう保つのか。

 「特定の団体、政党に属したわけではなく、政策を訴える中で多くの支持を得たと理解している。何かが足かせになって進められないことが、あってはならないと自覚している」

 ―自身のカラーを出す6月補正予算案の方向性は。

 「新型コロナ対策が喫緊の課題で、観光、宿泊、飲食業を中心に支援策を検討し、ワクチンの速やかで円滑な普及に最大限、力を入れる」

 ―中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の稼働に対する考えを。

 「市民の安心、安全が最優先だ。原発は縮小の方向で考えたいが、電力の安定供給の観点では当面の必要性について着眼せざるを得ない。国の審査の内容を精査し、市民、関係者の意見を聞いた上で慎重に判断する」

  (片山大輔)