著書「ロバの願いごと」を紹介する山本満敏さん=松江市白潟本町、アスキ高等学院
著書「ロバの願いごと」を紹介する山本満敏さん=松江市白潟本町、アスキ高等学院

 松江市白潟本町でフリースクールを運営する山本満敏さん(57)=松江市在住=が童話「ロバの願いごと」を出版した。主人公のロバが人間のヒロインの幸せを願うストーリーで、不登校などに悩む子どもたちと向き合った経験を踏まえ、相手を思いやることの大切さを伝えている。

 「幸せになってね。いつまでも君を守っているから」―。物語はサーカス団の一員のヒロインに恋心を抱くロバの視点で進む。ロバは当初、自らが人間となって2人が結ばれるよう願うが、公演最終日の前夜に起きた火事をきっかけに、ヒロインを守るためにある決断をする。

 山本さんは英語教諭を経て発展途上国の学校に勤務し、帰国後は県内のフリースクールで指導。2016年に「アスキ高等学院」を立ち上げ、不登校の子どもたちを受け入れている。

 交流サイト(SNS)などで人の本音に触れやすくなったためか、子どもたちが自身の思いを伝えることに臆病になり、相手の反応を過剰に気にする傾向が年々強まっていると感じる。それだけに、本著には「人への思いやりの気持ちがあふれる環境をつくっていきたい」との思いを込めた。「子ども向けの設定だが、大人だからこそ考えてほしいテーマでもある。ぜひたくさんの人に手に取ってほしい」と呼びかける。

 20年3月に卒業した女子生徒がイラストを担当。A5判、84ページ、1200円(税込み)。山陰両県内の書店で販売し、山本さんから直接買うこともできる。問い合わせはメールアドレスasuki.school@gmail.com (佐々木一全)