植樹祭の会場(資料)
植樹祭の会場(資料)

 大田市三瓶山北の原で5月30日に開かれる第71回全国植樹祭について、天皇陛下が現地を訪問せず、代わりに東京からオンラインで出席されることが決まった。療養中の皇后さまも体調に支障がなければ、一緒に参加される。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対応で、宮内庁と島根県が27日に発表した。 (曽田元気)

 

 式典では島根と東京をオンラインでつなぎ、陛下が東京で苗木を植え、あいさつの言葉を述べられる様子を会場に中継する方針。1971年の前回島根大会で、昭和天皇がお手植えした樹木の収穫の具体的な方法は今後詰める。

 宮内庁幹部が今月中旬、県に現地訪問が困難と連絡。県はオンラインでの出席を打診し、協議していた。丸山達也知事はこの日の定例会見で「実際のご臨席に近い形で実施したい」と話した。

 島根県での植樹祭は昨年開催予定だったが、コロナ禍で1年延期されていた。当初4千人としていた式典の招待者を千人に縮小。人と人の距離を2メートル確保するなど対策し、演出の一部は映像を活用する。県は、中継機材などオンラインによる追加経費を5千万円と試算。準備段階からの事業費は計10億円を見込んでいる。

 植樹祭は、国体、国民文化祭、全国豊かな海づくり大会と並ぶ主要な地方公務「四大行幸啓(ぎょうこうけい)」の一つで、50年から各県持ち回りで開かれてきた。現地訪問が中止となるのは、十勝沖地震が直前に発生した68年の秋田大会以来2度目となる。