新型コロナウイルスの感染者が高止まりする中で2学期が始まるのを受け、島根県の丸山達也知事が26日、県内全ての学校に対して29日から9月11日までの2週間、部活動を原則停止するよう要請した。県立の高校全35校と特別支援学校全12校は停止を決めたものの「生徒や保護者の理解が得られない」と停止を見送る自治体があり、対応が分かれた。
丸山知事はコロナで打撃を受けるスナックなど飲食店向けに消費喚起策を講じる考えを合わせて表明し、感染を抑えつつ経済活動との両立を模索する姿勢を示した。
会見した丸山知事は「学校の再開は(感染)拡大要因だ。何も対策を取らず、夏休み前と同じ状況では臨めないと判断した」と説明。部活動の停止を求める一方で、消費喚起策をてこ入れすることについて「一方方向の考えで処理できるほど簡単ではない。これまで厳しい条件を設けられてきたところ(飲食店)と、夏休みに制限がなかったところ(学校)を同列では論じられない」とした。
<部活動の原則停止>
部活動原則停止の要請対象は、高校など県立学校、小中学校、私立学校、国立の義務教育学校、スポーツ少年団の小中学生。
通常の活動をはじめ、他校との練習試合や合同練習について停止を求めた。期間中にある公式大会は学校長が認めた場合、参加可能。10月11日までに開催される大会に出場するチームや個人に限っては、開催日1カ月前から通常活動や練習試合を可能とする。
停止は、小中学校などを管轄する各市町村にも要請した。県内8市のうち浜田、益田、安来、大田、江津5市は原則停止する。
一方で松江、出雲、雲南3市は練習試合などを取りやめるものの、通常の部活動は行う方針。松江市教育委員会は現在、市立学校の部活動で感染拡大を確認していないことを判断理由とした。成相和広副教育長は「2学期が始まり感染拡大を心配しているが、これまで通り、各校の感染状況に応じた対応をしていきたい」と述べた。出雲市教育委員会の担当者は「学校が始まれば生徒は日中、行動をともにする。部活動だけ中止というのは、理解が得られないのではないか」と話した。
<消費喚起策>
消費喚起策については、コロナで打撃を受ける飲食業支援のため発行する「しまねプレミアム飲食券」の利用対象範囲に、スナックやクラブ、ラウンジ、キャバクラといった接待を伴う飲食店も加える。感染防止策が講じてあることを要件にする。加盟店舗の申請は9月2日から始める。
県は現在、飲食店利用について人数は最大4人、時間は最大2時間(県認証店3時間)としている。今後は1テーブル4人以内で、2メートル以上の間隔があり座席の移動をしないことを条件に、人数制限は設けない方向で検討する。利用者側にも「責任者」を選定してもらい、店舗側と相互で感染防止に当たることも想定。来週開くコロナ対策本部会議に諮り、正式決定する。
(白築昂)