【西ノ島】隠岐へ配流された後醍醐天皇にまつわる「帝祭(みかどまつり)」が3日、島根県西ノ島町美田の別府港であった。地元の島前神楽に加え、姉妹町の鳥取県江府町から下蚊屋(さがりかや)荒神神楽が舞われ、地元や観光客でにぎわった。
町観光協会などでつくる実行委員会が主催。新型コロナウイルスの影響で中止が続いたが、今年は鏡開きや餅まきの行事を省略して4年ぶりに開催した。
地元の子どもたちと太鼓グループ「じょんじょん」の西ノ島音頭で幕を開け、隠岐島前神楽西ノ島同好会(松新俊典会長)の神楽が続いた。
舞台を清める神途舞(かんどまい)から始まり、全国的にも珍しい、女性が面を着けずに舞う巫女舞(みこまい)が厳かに披露された。櫛石窓神(くしいわまどのかみ)と鬼が大立ち回りを見せる随神能(ずいじんのう)が終わると、集まった200人の観衆から大きな拍手が送られた。
江戸中期からの伝統がある江府町の下蚊屋荒神神楽は、迫力ある大蛇(おろち)で祭りを盛り上げた。
2年ぶりに舞台に上がった島前神楽の松新会長(77)は「伝統を残すには見たり、聞いたりする場がなければならない」と声を強め、舞に見入った西ノ島町宇賀の山根一美さん(75)は「神楽は子どもの頃から体に染みついている。久しぶりに見られてうれしかった」と喜んだ。
(鎌田剛)













