トルコで活動する画家月岡綾さん(42)=松江市出身=が、米国在住の文筆家河野洋さん(55)と共に絵画と詩を融合させたアート創造を目指している。出雲神話や出雲の自然などをモチーフにしたアクリル画に、言葉で彩りを添える詩の組み合わせに大きな可能性を感じる2人。出雲市今市町のギャラリー高瀬川で初めての共同作品展を開き、芸術活動の新たな一歩を踏み出した。 (佐野翔一)
月岡さんは元グラフィックデザイナー。東京で働いていたが、帰省時に出雲市で型絵染を習い、のめり込んだ。県総合美術展では3年連続入賞。次第に、海外でチャレンジしたいと考えるようになり、渡った先のトルコで、色使いが鮮やかなアクリル画の魅力を知り、創作を続けている。
トルコで個展を開くまでになったが、作品の発信の仕方に悩み、2021年6月に友人の紹介で知り合ったのが河野さんだった。ニューヨークを拠点に音楽記事やエッセーを書いていた河野さんは、月岡さんの絵に引かれ、自分の感情を表現できる詩を選んだ。
ともに絵と詩の組み合わせにより表現の可能性が広がるのを感じ、インターネットを介して海を越えた共同制作で、28点が完成。初めての作品展で並べた。
出雲神話の天照大御神(あまてらすおおみかみ)と月(つく)読命(よみのみこと)をテーマにした作品は、光と闇を表す白と黒の背景に、鮮やかな青とオレンジ色の輪を描き、「水魚と雷魚 揺れるリング 夢の果て 逆流の神秘」という詩で、太陽と月のように相反する二つも、一つ輪を作り、つながっているというメッセージを込めた。
2人の感性を融合させた映像にも挑戦し、世界への発信を目指す月岡さんは、新型コロナウイルス禍の影響で先が見えない時代に一つの出会いから活動の幅が広がり希望が見えたと振り返り、「作品を通じて日常が明るくなり、前向きになってもらえたらうれしい」と来場を呼びかけている。10日まで。入場無料。













