【浜田】浜田市上府町、安国寺の仏殿にある天井画「雲竜図」の修復が進んでいる。京都府の絵師の手により、江戸時代中期ごろの作とみられる雲間を悠々と泳ぐ竜の姿がよみがえっている。
雲竜図は直径約3メートル50センチの円形。座禅などで使う仏殿「寂光殿(じゃっこうでん)」が境内に建てられた1724年ごろ、墨汁で描かれたとみられるが作者は不明。
経年劣化のため天井の溝が白化し絵はかすれて消えかかっていた。3年前に跡を継いだ豊福英樹住職(36)が、和歌山県の寺院など3件の雲竜図の修復を手掛けた絵師の福井安紀(さだのり)さん(51)=京都府宇治市=に修復を依頼した。
福井さんによると、他寺院のものより黒目が大きいのが特徴で、頭の位置などから金戒光明寺(京都市)の絵に影響を受けた可能性があり、過去に修繕された形跡もあるという。
後世の人がもとの筆跡と区別できるようにと、墨汁よりも粒子の粗い和墨を染み込ませた筆や刷毛(はけ)を使い、勇壮な竜を再現させている。
「竜が消えてしまうのではと心配していた。ご縁があり修復できてうれしい」と豊福住職。福井さんは「雲竜図がある寺は少なく貴重。大事にしてほしい」と話した。
11日に完成予定で、一般参拝も受け付ける。
(中村成美)