島根県隠岐の島町の海岸で、前脚が網に絡まり衰弱したアカウミガメを描いた絵本「リブと海」の制作メンバーが15日、環境省に200冊を寄贈した。隠岐で生まれたウミガメを巡る物語は、全国の国立公園事務所やビジターセンターに配本される予定で、海洋ごみの深刻な被害や現状を訴えかける。
リブは2020年8月に同町岬町の海岸近くで見つかり、有志により助け出された。治療とリハビリを経て21年7月に海へ帰された。救出に関わった町内外の人が中心となり出来事を絵本(A4判、32ページ)にまとめ、クラウドファンディングを原資に2千部を発行した。
一般発売はせず、希望した山陰両県の小中学校や島根県内の図書館に送付。両県以外にも伝えようと、環境省への寄贈を決めた。
町内であった贈呈式で絵本制作実行委員会の安部由起委員長(43)が「この前の台風でまた海中のごみが増えた。リブの話が全国に広がればいい」と述べ、環境省中国四国地方環境事務所(岡山市)の上田健二所長に絵本を手渡した。上田所長からは感謝状が贈られた。
委員会は今後、一般発売や英訳も検討する。
(鎌田剛)