松江市ゆかりの文豪・小泉八雲(1850~1904年)が同僚に送った手紙を集めた展示会が、同市西川津町の島根大付属図書館で開かれている。11通が現代語訳とともに並べられ、八雲の心情の一端に触れられる。26日まで。入場無料。
八雲は1890年夏から約1年3カ月、松江に滞在し、松江尋常中学校(現・松江北高校)や県尋常師範学校(現・島根大)で英語を教えた。同図書館は、尋常中の教頭だった同市雑賀町出身の西田千太郎(1862~97年)に送った手紙45通を所蔵する。
展示は前後期に分けて、12日からの後期は11通を展示。92年末から96年冬にかけ熊本、神戸、美保関、東京から発送した手紙と現代語訳、関連資料を並べた。
95年12月に神戸で投函(とうかん)した手紙には「わたしは『Y.小泉』(小泉八雲)になります」と、96年に取得した日本国籍についての記述がある。3年過ごした熊本の暮らしが合わなかったことや、水害に遭った松江を気遣う様子、各地の学生の比較などがつづられている。現代語訳を手がけた同大の常松正雄名誉教授が収集した八雲に関する写真、著書も並ぶ。
同大図書情報課の矢田貴史さんは「文章だけでは分からない便箋や絵にも注目し、八雲を感じてほしい」と話した。午前9時~午後5時で、土日、祝日は休館。八雲の手紙は同館デジタルアーカイブでも見ることができる。
(広木優弥)