八十八夜の1日、島根県内の早場の茶産地として知られる出雲市平田地域で、新茶シーズンの幕開けを告げる「一番茶」の初摘みがあった。早乙女姿の女性6人が、つややかな緑に色づいた新芽を丁寧に摘み取った。
同市園町にある出雲精茶(出雲市小境町)の茶畑では、4月10日の霜の影響で、一部の畑で新芽に被害が出たが、その後の好天で新たな芽が順調に育ち、高品質の葉の収穫が見込まれるという。
新型コロナウイルスの影響で初摘み会は2年ぶり。この日は、爽やかな香りと渋みが特長の品種「ヤブキタ」を収穫し、かすりの着物に赤いたすき姿の女性が、味の濃い芯周辺の葉2、3枚を手際よく摘み、ざるに入れていった。
JAしまねによると、2021年度の県産緑茶は、2・5トンの販売量を計画する。出雲精茶では5月中旬まで煎茶用の葉の収穫が続き、下旬には新茶が消費者の元に届く予定。岡祐太社長(33)は「新芽の水分量、色づきとも良好で、香りの良い高品質でおいしいお茶が期待できる」と話した。 (三原教史)