鳥取県警が5日、インターネットウイルスをまき散らした被害補償などの名目で、鳥取県東伯郡の70代女性が現金4550万円をだまし取られる架空請求詐欺被害に遭ったと発表した。特殊詐欺被害として県警に記録がある2012年以降で最高額。
22年の県内の特殊詐欺被害は4日現在、発生件数37件、被害額1億595万円となり、21年の年間被害額8472万円を超えた。県警生活安全企画課の山脇仁志次席は「未納料金や返金について聞いたら相談してほしい」と呼びかけている。
県警捜査2課によると、女性は67回にわたり10万~100万円を指定された口座に振り込んだ。最初の被害は6月20日ごろ、実在しない「NTTファイナンス日テレサイケン買収株式会社」名の「利用料金の未納」を知らせる封書が自宅に届き、連絡先の電話に出た男から「インターネットウイルスをまき散らして被害が出ているため補償費用が必要」と言われ、同22日に5回にわたり現金計80万円を振り込んだ。
その後、8月13日までの間、日本保護協会、警視庁刑事2課、日本ネットワークセキュリティ協会などと名乗る男から電話で、預金の移動やサイバー保険料などの名目で要求されるまま現金を振り込んだ。
女性は振り込んだ相手と連絡が取れず、9月6日に琴浦大山署に相談。特殊詐欺被害に遭ったことに加え、自身の口座が知らないうちに別の詐欺事件で使われ、警察からの依頼で凍結されていたことが分かった。
(岸本久瑠人)