取材に応じた女性=出雲市塩冶有原町2丁目、出雲署
取材に応じた女性=出雲市塩冶有原町2丁目、出雲署

 人ごとだと思っていた特殊詐欺に遭い、現金150万円をだまし取られた出雲市在住の60代女性が8日、取材に応じた。どこで知ったのか、電話の向こうから難しい読み方の本名を告げられて、信じ込んでしまったという。 (出雲総局・井上雅子)

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 被害は今月1日。自宅の固定電話に市役所保険課を名乗る男から「平成27年から令和3年までの介護保険料2万4300円の払い戻しがあります。期限は今日までです」と連絡があった。

 2度目の電話は同居する夫が受けた。「金融機関に行って下さい」という指示。具体的な金額、明るく丁寧な言葉遣い、何より難読であるはずの本名を告げられ、2人して市内の金融機関に行ってしまった。

 電話からの指示通り6桁の番号を3回打ち込んだ。

 「499243」。還付を受けるための番号か何かだと思った。しかし、実際は、49万9243円を相手に振り込んでしまったことを意味した。「500000」なら疑ったかもしれなかった。

 夫が不審に思い、警察に相談したのは、既に約150万円を振り込んだ後だった。

 「まさか自分がだまされるとは」と女性は語る。気落ちしたが、これ以上の被害を出さないために、被害体験を語ることにした。迷惑電話防止機能付き固定電話の導入を検討しているという。

 出雲署生活安全課の吾郷利孝課長は「ATMで還付金手続きはできない」と強調する。電話の相手の丁寧さに惑わされず還付金と現金自動預払機(ATM)の組み合わせが出てきたら、まず詐欺だと疑うことが重要だ。同署管内で昨年なかった「還付金詐欺」が、今年になって10月末までで4件、780万円の被害が発生している。