短歌 宮里勝子選

赤白の旗をたたみて帰りゆく今日の現場の終りし二人       出 雲 井上都由子

 【評】工事現場の警備をする人を温かい視線で見ていて味わいがある。車の誘導をする赤と白の旗をたたむ具体的な動作は警備員の安堵感を表し、明日はどこの現場へ行くのだろうかとの作者の思いも読み取れる。

初めての入院手術で和歌を知る大腸がんが短歌を生んだ      江 津 大岩 郁夫

 【評】病気になると失うものと得るものがあり世界が変わる。下二句で正直に結論を出し潔ささえ感じた。自分を見...